国土交通省が20日発表した7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)は、全国では10年連続、東京圏では11年連続の下落となりました。住宅地の下落率は全国平均で▲3.3%と昨年より0.4ポイント拡大し平成4年、5年に続く下落幅となりました。(商業地は▲6.6%で0.3ポイント拡大)全国的に見た特徴は、東京圏の下落率縮小ながら、大阪圏・地方圏が下落幅を拡大していて、特に地方圏の下落率が▲2.5%と初めて2%を超える下落となりました。
一方、東京圏では2年連続して下落幅が縮小したほか、東京都心部を中心に地価が上昇する地点が大幅に増加しています。
東京圏の住宅地の年間変動率を、半年毎に遡ってみますと「表1」のようになります。東京圏全体では△5.8%の下落で、平成10年以来の下落水準にまで縮小していますが、東京都区部以外ではその縮小率は依然として小さくはありません。
東京圏の地価の上昇地点は、昨年、都心部商業地の2地点のみであったものが、今年度は住宅地で13地点、商業地で12地点とその広がりを見せています。住宅地の横ばい地点は、昨年の4倍の48地点にまで広がっています。昨年と異なるのは、特に港区(+0.7%)渋谷区(+0.2%)に見られるように、バブル以降初めて区単位での上昇エリアが見られることではないでしょうか。埼玉県で4地点の地価上昇が見られたのも大きな特徴です。これらの地点は、新しく開業した「JRさいたま新都心駅」周辺(さいたま市)と「埼玉高速鉄道」周辺(川口市・鳩ヶ谷市)という立地であり、交通アクセスの向上が上昇要因といえる事例です。
一部都心部の土地では、「収益を生む土地は争奪戦」(日経9/20)となっています。しかし、都心だから高いという世界ではもはやなくなっています。国土交通省の発表による今回の概況としては「利便性・収益性の差による地価の二極化がより進行している」、東京カンテイの分析によれば「土地のもつ魅力によって地価が細かく分かれる多極化の時代」を迎えたというのが今回の情勢と言えるのではないでしょうか。