21世紀に入り、不動産流通の分野に注目が集まっています。申し上げるまでもなく一つは経済対策としての不動産流動化問題とそれに伴う規制緩和という面からのアプローチ、もう一つは住宅対策としての流通問題からのアプローチです。
大きく2つの政策が関与しています。
※1総合規制改革会議「都市再生」における主な施策項目 ・ 不動産関連情報(地価公示の基礎的情報、固定資産税評価額)の開示 ・ 不動産鑑定評価手法の見直し(より収益性を重視した鑑定方法へ) ・ 透明な公平な媒介契約のあり方の検討 ・ 区分所有法の建替え要件の見直し ・ 中古住宅の検査制度、性能表示制度の整備 ・ マンションの維持管理等に係る履歴情報の第三者機関への登録
※2住宅市場整備「アクションプログラム」における主な施策項目 ・ 中古住宅市場の円滑な循環(中古住宅検査制度、性能表示制度、耐震性能、情報の提供、修繕管理の履歴情報登録、瑕疵保証制度、質を考慮した価格査定) ・ 賃貸住宅市場の整備 ・ リフォーム市場 ・ 分譲マンション(適正な管理、管理の相談体制、建替え支援)
特に注目されるのは、中古住宅の質が購入者には把握できないことに対する課題を解決するために、建物検査の導入と中古性能表示制度、修繕履歴情報を公開する制度などを創設し14年度から実施する点です。詳細は現在検討中ですが、我々も対応が求められています。結果として、米国並とはいかなくても、新築住宅からストック住宅へという流れは、フォローの風と言えましょう。
経済対策や規制緩和といった面から住宅ストックに対して「情報開示」を求められていて、従来の住宅市場が根本的に揺り動かされているといったところでしょうか。さらに、媒介契約にまで透明性が求められて来ていて、我々の不動産流通に対する取組み姿勢も、いわゆる「住宅市場」における一分野を担うという意識から、「生活サービス分野」の一つを担当するのだという観点への切り替えが必要なのかもしれません。