‘マンション管理士は正義の味方’という月光仮面ばりの期待が寄せられているこの法律が今週施行されます。マンションという言葉が法律に初めて登場し、改めて認知されたことの意義は、大きいものがあります。以下にその主旨をまとめてみました。
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とされていて、例えばツーバイフォー住宅のタウンハウスなども対象となります。
「マンション管理適正化指針」により、適正な管理の基準が示され、管理組合と区分所有者の適正な管理への努力が定められます。但し罰則規定はありません。
「マンション管理士」が国家資格として創設されます。この資格は管理組合に対するコンサルタント的な職種として位置付けられていて、筆記試験で認定されます。
「マンション管理業の登録」が義務付けられ、登録を受けるためには業務の規模に対応した人数の管理業務主任者を事務所ごとに配置する必要があります。加えて、業界全体の改善向上のために社団法人が指定され、会員各社の指導・研修にあたるとともに苦情の解決や、管理費修積金の返済債務に対する保証業務も行います。
別途「マンション管理適正化推進センター」が設置され、管理組合の側に立った情報提供や苦情処理の指導などの支援組織として活動します。
一方、分譲業者に対する義務として、建物の設計図書の速やかな交付と円滑な管理業務の引継ぎ努力が定められています。
課題としては、「マンション管理士」の位置付けが挙げられます。本来中立的な立場で管理会社の業務を監理したり見積査定などを行うことが期待されていますが、現実的には独立して事務所を構えるというような環境が整うかどうかは疑問で、おそらく管理会社の職員としての資格取得が多数を占めるだろうことから、一定の水準以上の能力を示す指標として活用されるケースが多いだろうと予想されます。
「マンション管理業」の条件としては、この7月に制定された施行規則によると、事務所毎に設置する管理業務主任者の数については、30組合に1名以上となっており、5戸以下のマンションしか扱わない事務所は主任者の設置を要しないこととされました。また、管理受託契約締結前には、管理内容に関する重要事項説明を実施することが義務付けられました。これらの規定により、従来放任状態だったマンション管理業は、情報開示という面において大きく前進することが期待されます。
国土交通省の調べでは、1999年末現在の分譲マンションストック数は、全国で368万戸となりました。これに住まう住人はおそらく1000万人程度と考えられます。現在の告示に基づく登録業者は535社、これらの業者で全体の80%を管理していると推定されています。
今、21世紀はストックの時代であるとの認識のもと、各方面で関連する制度の見直しが進められています。中古住宅の流通については特に今後の国策としての役割が求められているところですが、このマンション適正化法もその中で重要な役割を担うものとなることでしょう。
法律の施行にあたって、3年後の施行状況の検討と見直しが付帯決議されている点、定期借家権の立法過程と似ている面があります。この法律は、そもそも区分所有者自身のマンション管理への参画意識を求めていて、従来ありがちな‘他人任せ’では自らの資産を守れませんよ、ということを訴えています。なお、賃貸マンションについてはこの法律の対象としていないものと考えられます。