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不動産コラム vol.20
“個人版”民事再生法特則内容に注目! ~個人債務者救済に道~
 
個人の破産事件が平成11年に12万件超となり、バブル崩壊前の10倍に達し本年も更に増加する勢いです。特に最近は、「ゆとりローン」期間の経過と企業リストラによる住宅ロ-ン破綻が増加しています。こうした現状を踏まえ債務者である個人に定収入があれば、一定額を弁済させたうえで、残りの債務を免除する仕組みの「民事再生法」の個人版が、平成13年4月1日に施行されます。
昨年4月に施行された民事再生法は「企業」の事業再建型の倒産処理手続きを定めたものですが、今回は住宅ローン債務などを抱えて困窮している個人事業者やサラリーマン向けで「個人」の再生を目的とし、民事再生法の改正という形をとっています。
これは将来的に収入が見込め、累積している債務の整理さえできれば十分に再生可能な個人を対象に、破産宣告を回避したうえで弁済額を軽減し経済的再起が容易にさせるもので、債権者としても破産の場合よりも多くの弁済を受ける余地があります。
現在、個人の清算型法制としては「破産法」のみ。債務者が「破産者」との烙印を押され、仕事・社会生活上さまざまな支障を来し、所有財産はすべて処分清算し持ち家も手放さなければならないのが通常です。一方、債権者もその後ほとんど弁済を受けられません。「民事再生法」の特則は破産と異なる債務者救済の簡易迅速な制度で、債務者・債権者の双方にとってメリットのあるものといえます。
3つの特則から成り立っています。以下概要を記載します(細かな法定要件あり)。
(1) 小規模個人再生に関する特則 最近5年間の破産申立件数 :最高裁調べ
将来の継続的・反復した収入の見込みがあること
債務総額3,000万円(住宅ローン除く)を超えないこと
3年間(場合によっては5年)で弁済
再生計画案について債権者の同意が必要
4分の3以上返済して更に申立ある場合、免責も認められる場合もあり
(2) 給与所得者等再生に関する特則
弁済総額は可処分所得(収入から最低限の生活費を除いた額)の2年分以上の金額
3年間(場合によっては5年)で弁済
債権者の同意不要
(3) 住宅資金貸付債権に関する特則
弁済期間を最長10年間延長
最終の弁済期における債務者の年齢が70歳を超えないこと
(なお(2)に併用して行なう場合、住宅ローン支払金は可処分所得基準の枠外で行なう必要あり)
民事再生法が再生型の倒産処理の一般法とすれば(1)はその特別法で(2)が特別法の特別法、(3)は再生債権の中での特別扱いの特別条項、といった関係になっています。
特に、(3)は(1)、(2)、一般の民事再生手続きのいずれにも適用があり、住宅ローンが債権者の同意がなくとも、一定の要件の下で5年ないし10年の返済繰り延べができるようになり(喪失した期限の利益の回復)、住宅の抵当権の実行も制限できるため個人債務者の生活基盤となる住宅を確保できるという経済的な意味だけでなく、精神的にも大きな意義のあることと言えましよう。どう運用されるのか目を離せない制度です。
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