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不動産コラム vol.17 |
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■21世紀は「建物主役の時代」 |
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―― 新たな社会資本整備と題して ―― |
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新世紀がスタートしました。新しい時代の不動産のテーマをひとつあげるとすれば、「建物の時代」という価値観が間違いなく上位
にあげられることとになるでしょう。昨年暮れに日経で連載されたこの特集のポイントを整理することで課題を概括してみたいと思います。 |
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変化の捉えどころは、外資や不動産証券化の流れがもたらした、「土地こそ資産」という概念から「建物収益」が価値を決めるベースになるという概念への転換です。その上で、次世代の建物の評価軸を、「収益性」「環境との共生」「建物寿命と変化対応力」という三点において整理しています。少子化や経済活力の低下から予想される「容易に建て替えられない時代」という一言でうまく表現されています。 |
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ライフサイクルマネジメント(LCM)の重要性
日本の住宅の平均寿命は26年、米国44年や英国75年に対してあまりにも短命です。かといって建築費が安いわけではない。建物が建築されてから取り壊されるまでにかかるすべてのコストをライフサイクルコスト(LCC)といいますが、このコストを建物寿命で割り戻せば日本人の住居費負担は欧米の3倍以上となっているに違いないのです。検討すべき課題は次の点にあります。 |
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1.
建物の基本性能 構造や階高にゆとりを持たせる(時代の変化に対応できる)
2. 建物の骨格と内部を別々に作る。(S.I:スケルトン・インフィルの思想)
3. LLCによる評価 時間軸で建物を考えよう(完成後の費用がLLC全体の3/4)
4. 耐震性の向上 都心3区では半分のビルが旧耐震基準でできている
5. きちんとした都市マスタープラン |
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環境共生―― 持続可能な社会の形成に寄与する
1997年の地球温暖化防止京都会議で二酸化炭素削減目標が定められたわけですが、建物に関係するCO2排出量
は日本全体の1/3を占め、大きな目標がこの分野に与えられていることになります。これらを含めた、環境負荷の少ない建物を実現することが重要で方法は次の3点。 |
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1.
建物耐久性を伸ばすことと、需要の変化に耐えられる柔軟性を確保すること
2. 私有の権利最優先のシステムから、共有概念による社会システムの導入
3. 環境負荷の少ない建物を作るコストを正当化できる、環境会計の導入
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「環境からの建築制御は世界的な潮流」であり、今後、建物の評価に環境要素が加わるのは時間の問題となります。この環境評価の問題は、もはや倫理の問題でなく経済的な領域に踏み込んでいると自覚する必要がありそうです。 |
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建物の評価基準
不動産は建物が生み出す収益を元に評価される時代になった結果
、建物は管理の良し悪しが大きく作用する資産へと変化しています。そして、建物も顧客志向で発想することが収益の源泉であるとして、他の消費財と比べて圧倒的に長い建物の寿命に対して進化していくために、逆にニーズの進化の方向にいかようにも対応できるゆとりを残すことによって陳腐化から逃れようという提案があり、注目したいと思います。 |
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最後に外資系企業による都市の評価比較が紹介されていますが、他の主要都市に比べて東京は生活環境の評価(他の軸は,市場、情報、ビジネス環境等)が極端に低い点に着目し、戦後55年かけて築いてきた首都に対する評価を直視し、建物を軸とした社会基盤のあり方を徹底的に見直そうと呼びかけています。 |
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