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nomu.com通信 vol.15
「不動産投信」が11月30日、解禁になりました。
ここ数年「不動産の証券化」という話題が急速な広がりを見せています。その当面の目標であった、不動産投資信託という投資の仕組みが今回法的に整備されたことによって、不動産の証券化は社会的に認知される仕組みへ変身することになりそうです。

不動産投資信託とは何か?――
不動産投資を専門に実施する株式会社への株式投資をすることによって、間接的に不動産投資の利益を享受しようとする投資商品」と説明することができます。したがって、金融商品としては《投資信託》という性格を持ちながら、形態としては《株式投資》という側面を持つこともできることになります。(ほかに契約型の商品構成も可能です。) 来年春を目指して東京証券取引所では、この不動産投信の上場市場を創設する予定です。現在数社がこの上場第1号を目指して準備中と言われています。

基本的な仕組みは、次のようなものです。
不動産に投資する法人が投資家から資金を集めて基金(ファンド)をつくり、不動産の専門業者に運用を委託する。運用業者が選んだ複数のビルをファンドが購入し、ビルの賃料から維持管理費などを除いた残りを投資家に配当する。
表
この不動産投信の最大のメリットは、通常の株式会社においては収益に対し法人税が課せられた後に配当金が支払われることになっていますが、不動産投信の場合は所得の90%以上を配当に回すことによって相対的に高い配当収入が得られることです。
これまでにあった不動産投資商品は、機関投資家など大口の投資家向けのものがほとんどだったのですが、不動産投信は10万円単位 まで小口化される可能性があります。 不動産投資は、通常1単位 あたりの金額が多額でありかつ流動性が少ないという特性がありますが、これを小口の金融商品化することがこの不動産投信の目的です。
投信としての利回りは、年4~6%程度となるのではないかといわれています。ミドルリスク・ミドルリターンの金融商品になる
と考えられていて、現在の低金利下では人気を集めることが予想されます。ただし、上場後の株価は市場金利の影響や地価・賃料の動向によって大きく変動することも考えられることから、金利上昇懸念の強い現在の日本でスタートする不動産投信の価格がどのように推移するか不明なところです。また、上場している不動産会社の株を買うのか、その不動産会社が設立した運用会社の不動産投信を買うのかは、投資家の選択にかかっているともいえます。
この不動産投信の市場規模がどのくらいのものかということですが、ニッセイ基礎研によると対象となる商業用不動産の規模が70兆円、そのうちの4~5兆円前後が上場される不動産投信としての市場ではないかと予測しています。現在の証券投資信託の資産残高は約50兆円ですから、当面その1/10の市場規模と考えられます。大手の不動産会社と証券会社では現在この市場への参入を目指して名乗りをあげていますがスタート時点の評価がこの市場の将来にとって大変重要といえると思います。
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