第2回「ありがとう、わたしの家」キャンペーン 入賞エピソード発表!

グランプリ

愛おしい跡(はなまるさん)

結婚して5年目、娘が3歳、息子が1歳の時に購入した新築の一戸建て。
ピカピカの白い壁、ツルツルの床。何もかもが眩しい。

…しかし…

息子がオモチャを投げたり、娘が絵を描いた時には床に染み付いたマジックの跡!
子どもが成長するに連れ遊びも大胆になると、
洗面所のライトのスイッチの下には泥んこの手形がついていたり、
ペタぺタとリビングの壁にシールで絵を貼っている。

大事に住もうと思っても、汚れが日に日に目立っていく。
その都度「こらぁ~!」と頭から角を出していたけれど、

ある日、子どもたちを連れ、実家に遊びに行くと…

「ママぁ、これなあに?」

物置で“お家ごっこ”をして遊んでいた娘と息子。
物置の片隅にしまわれた机の裏側に、“不思議な物”を発見した様子。

「ああ!これ?」
そこにあったのは、花丸を付けた拙い字の小さな答案。
セロハンテープは黄ばみ、紙も ところどころ破れてボロボロ。
花丸も薄く変色していた。
それは、子どもの頃、先生ごっこが大好きだった私が作って貼った答案だった。

そっと手で触れてみる。
「1+1は2で~す。よくできましたぁ」
お人形相手に、得意げに丸を付けていたっけ。

「よくできたから、壁に貼っておきましょうねぇ」
机の下の狭いスペースが私と人形たちの教室。

「算数の次は、音楽で~す」
笛を吹いたり、歌を歌ったりもしたなぁ。

みるみるうちに、当時の記憶が鮮明に蘇った。

このことを伝えると、父は笑いながら
「ああ、剥がしてしまうことができなくて、もう何十年も貼り付けたままにしていたよ」
愛おしそうに語った。
「一生懸命、先生をやっていたよ。あの頃が、懐かしいなぁ」

実家の床の傷、壁に貼られたシール。その一つ一つの思い出を話してくれた。
私が汚してしまった跡だけれど、
それすら“子どもの成長の証”として愛しんでくれている父と母…

なんだか、嬉しくて涙がこみ上げてきました。

それ以来、「汚さないようにね」と注意はするものの、
ほんの少しだけ子どもたちの様子を多目に見ている私です。

綺麗な家は素敵。
でも、年数を重ねて変化していく家も、また素敵。

子ども達が巣立った後、床に付いた小さな傷跡も愛おしくなるのだろう。

…ありがとう、私たちの家…

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