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4歳の花束

ちぃいやん さん

第1子の出産をきっかけに、親の家の近くに引っ越した。
賃貸を探していたが、結局2階建ての中古住宅3DKを購入した。
体が弱い私は子育てしながらの共働きは不安だった。
心配性の母も、今さら孫を育てられるかと不安を口にしていた。
そんな頃長女が生まれ、2か月後には産休が切れて職場復帰した。
慣れない子育てと家事そして仕事に疲れ、1日があっという間に過ぎた。
翌年4月、長女が保育所に入所できた。両親は長女がかわいそうだと入所に反対していたが、2年半後に生まれた体重4235gの長男には手を焼き、彼の入所を待ち望むほどだった。
子供達が病気になった時も、両親が二人がかりで医者に連れて行き、我が家で看病をしてくれた。長女の保育所の送迎は、父がしてくれた。雨の日には三輪車の荷台に幌をつけ、平安時代の御所車のようにして雨に濡れないような計らいをしてくれた。
長女が小学校に上がる前年の秋、新築2階建ての4LDKに転居した。実家から歩いて7~8分で今までの家と同じくらいの距離だった。
小学1年生になった娘が学校から帰り、その日の出来事を話すのを、母は一生懸命に聞いてくれ目に見えない助けをしてくれた。
ある日の晩、風邪で休んでいた母から電話がかかった。
「今日、大ちゃんが家に来て、花を持ってきてくれた」と言った。
一瞬、何の事だかわからなかった。
母は2~3日前から風邪をひいて家に来ていなかった。それを心配した4歳の息子が一人で母の家を訪ねたのだ。600~700mある道のりをどれだけかかって行ったのか。その途中にある小学校の道端に咲いていたという雑草を持って「何もないけど・・・」と小さな声で言い母に差し出したという。
この話を聞いて、仕事と子育ての疲れが一気に吹っ飛び、やんちゃな息子が頼もしく思えた。その息子が小学校に入学した年の6月、父は自分のやることは終わったと思ったかのように突然亡くなった。
その後も母は2人の孫の成長を間近で見守ってくれた。
両親が近くにいて助けてくれたお陰で、私は40年間働き続けることができた。
今は亡き二人に対し「感謝」の2文字でいっぱいだ。

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