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プロに聞く「収益物件」売却術

宮澤 大樹
野村の仲介+
ソリューション営業二部
副部長

収益不動産の売却は、買い手の動向に大きく左右されます。人気の高いエリアや物件種別、価格帯の現状はどうなっており、今後どうなるのか。また、昨今の融資環境とその影響についてなど、2018年の不動産投資市場を振り返り、2019年以降への展望についてお話しします。

現状は「売り」優先。2019年は外国人・戦略特区・開発を注視

2017年後半から続く売却物件増、投資難易度アップの流れに歯止めがかかりません。エリアや物件の二極化が進み、金融機関の融資姿勢はより厳しくなっています。今後の不動産投資市場で考えられるマイナス要因とプラス要因を整理して、取るべき対策を解説します。

公開日:2019年01月10日

※内容、担当者の所属・部署名等は公開日時点のものです

■厳しい融資環境下でも、低金利と価格下落の傾向から「売り時」と判断

2018年の不動産市場には様々な動きがありましたが、収益不動産の利回りにそれほど大きな変化はありません。ただし、それは全体や都内で見た場合のこと。千葉、埼玉、北関東などの郊外では利回りが上昇しており、収益不動産の売却価格は下落傾向にあります。

郊外の物件価格が下落している要因は、居住者の都心回帰や人口減少など様々考えられますが、金融機関の融資引き締めも、その要因の一つと考えてよいでしょう。
2018年4月、シェアハウス事業を展開していた会社が民事再生手続きの棄却を受けました。某地方銀行は、この会社の顧客である投資家に不適切な融資を行っていたとして行政処分を受け、大きな社会問題となりました。この事件を契機に各金融機関への金融庁の立ち入り検査も実施されており、どの金融機関も投資用不動産に対する融資には慎重な姿勢をとっています。

厳しい融資環境は、個人投資家向けだけではありません。本来なら収益不動産の有力な買い手である不動産業者も、なかなか事業資金の融資が受けられず、厳しい状況に陥っています。そのため、供給に対して需要が振るわず、郊外を中心に売却物件があふれる傾向にあるのです。

一方で、相変わらず低金利であることに違いはありません。郊外の物件は今後も価格下落が予想されることから、思い立ったときが「売り時」と言えます。もし現在、郊外の収益不動産を所有しているなら、買い手にとって魅力的な金利が維持されているうちに、売却することをお勧めします。

■融資環境以外のマイナス要因とは

2019年10月には消費増税が予定されています。これも不動産投資マーケットにとってはマイナスです。建物にかかる消費税の負担が大きいのはもちろん、リフォーム費用や仲介手数料など、関連する諸経費にも幅広く消費税が適用されるため、一定の影響は避けられないでしょう。

実は、前回(2014年)の増税時には一時的に不動産価格が上昇しました。しかし、それは2020年東京オリンピック開催決定から間もなく、また、同じタイミングで始まったゼロ金利政策の影響が大きかったという見方が有力です。今回は、既にゼロ金利であることから、不動産価格の上昇は期待できないだろうというのが、私の意見です。

また、2020年の東京オリンピックについては、既に市場に織り込み済みであるため、大きなプラス要因とは言えず、逆にその反動が懸念されます。

■外国人訪日客と就労者の増加はプラス要因

中長期的に見て、国内の少子化は大きなマイナス要因です。一方で、外国人訪日客と外国人就労者の増加は、プラス要因として捉えることができます。

2018年の外国人訪日客は、年間3,000万人を超えるペースです。政府は2020年までに訪日客数4,000万人を目標としており、順調に推移しています。

また、2008年に約48万人だった外国人就労者は、2017年時点で約127万人と、毎年10%以上の増加を続けています。さらに政府は、2019年4月から新たな在留資格を設けて、建設、介護、農業、漁業など、14業種で外国人の就労を認める方針です。

外国人訪日客が増えれば、ホテルなどへの投資が活気づきますし、外国人就労者が増えれば、働く場所の近くに住居が必要になります。

外国人居住者に対して抵抗感を持っている大家さんも一部にはいるでしょうが、これからは外国人に合わせた不動産投資や賃貸経営をしていかないと厳しいでしょう。
例えば、日本では2年ごとの賃貸借契約が一般的ですが、今後は外国人が借りやすいよう、1ヵ月~3ヵ月といった短期での賃貸ニーズに対応する必要があるかも知れません。

また、カジノ整備法(IR法)の成立や、大阪万博開催決定なども、外国人の集客や雇用はもちろん、景気の下支えが期待できるという大きな視点で、プラス要因と言えるでしょう。

■エリアは細分化が進み、物件は大型のものが需要増

郊外に比べて、都心は需要も旺盛で価格も横ばいというのが現在の状況ですが、細かく見ていくと、同じ都心でも格差が広がっている印象です。例えば港区内の特に人気の高いエリアや物件では、坪単価800万円~1,000万円、虎ノ門ヒルズなどは坪単価1,600万円で取引されていますが、同じ港区の三田なら中古物件が坪単価400万円前後です。

価格帯でみると、1億円~3億円の物件は動きが鈍い印象ですが、5億円を超えるような大型物件の需要は旺盛です。購入しているのは主に富裕層です。しかも、韓国や香港などアジア圏の裕福な個人や機関投資家が中心となって、都心の一棟レジデンスや区分のタワーマンションなどに投資しています。

一方、サラリーマン投資家は、節税にもなると、区分所有の新築ワンルームマンションから始める方が多いようです。しかし、シミュレーションしてみると、キャッシュフローはマイナスになるケースが多いというのが現実です。このような物件は、そもそも販売価格が高めに設定されているため、いざ売却しようと思っても、希望価格で売れない可能性があり、注意が必要と言えるでしょう。

■サラリーマン投資家と資産家で異なる出口戦略

出口戦略は、サラリーマン投資家と、地主などの資産家では全く異なります。
サラリーマン投資家は資産を増やすために、基本的には売却利益を得るかインカムゲインを増やすしかありません。が、空室率が高くなればインカムゲインは望めませんし、現在は簡単に売却益を得られるマーケットではありません。

投資する際には、空室率や税金をきちんと計算して、キャッシュフローが得られる物件を選ぶことが前提となります。加えて、特に郊外の物件では、出口を見据えて空室率を抑える工夫をしたり、倉庫やトランクルームなど別の用途に転換して収益を得たりすることも選択肢に入れないと、今後ますます厳しいでしょう。(用途変更は、所定の申請や法規制がある場合がありますので、注意が必要です。)

資産家が相続対策のために収益不動産に投資する場合は、キャッシュフローよりも資産圧縮効果を重視して物件を選ぶことになります。そのため、現在所有している不動産を整理し、オリンピック後も資産価値の落ちにくい都心のマンションや駅近の物件に買いかえるといった出口戦略が有効でしょう。

■2019年の展望まとめ

日本全体では人口減少は避けられません。東京一極集中、都心回帰の流れと相まって、郊外の不動産価格は今後も下がっていくでしょう。しかし、外国人訪日客や外国人就労者の増加、またこれに対する国の施策を考えると、マイナス要因ばかりとは言えません。
カジノを含む統合型リゾート(IR)が誘致されるエリアや、再開発の戦略特区など、行政の動向を注視しながら、不動産投資の戦略を練っていく必要がありそうです。

目先の相場だけを見れば、「買い」よりも「売り」が優先です。特に郊外は、早めの売却をお勧めします。ただし、前述の通り、融資環境は厳しい状況下にあるため、買主ターゲットの選定や売却方法には工夫が必要です。また、物件価格の下落を少しでも抑えるために、何らか収益性を高める工夫が必要となるでしょう。様々なパートナーと連携して出口戦略を検討していくことが必要なマーケットであることは間違いありません。

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