マンションの売れ行きが低迷し、分譲価格も落ちている。マスコミではそんな記事・報道が多い。果たして、これは本当だろうか。
毎年300件ほどのマンション、建売住宅を見ている私の実感からすると、確かに値段を下げている分譲マンションはある。しかし、すべてのマンションが売れ行き不振で価格を下げているわけではない。
価格を下げているのは、主に郊外のマンション。その一方で、価格を下げずに売れてしまう都心部のマンションがあるし、準都心部では当初想定されていた価格を少し上げて売り出される物件もある。つまり、いろいろなのだ。
私が見る限り、都心部と準都心部――そのなかでも住宅地として人気が高い場所で分譲されているマンションは価格が崩れにくい。価格が崩れないのは“売り物”が少なくなっていることも大きな原因だと思っている。
その理由は、土地オーナーが地所を手放さなくなっているからに他ならない。
なぜ、手放さないのか。その理由を探るため、もし自分が都心や準都心の一等地、例えば麻布や自由が丘、三鷹で広い土地のオーナーだったらどうするかを想像してみよう。
一等地を所有していれば、毎日のように「売ってください」「高く買いますよ」と言われるはずだ。しかし、すぐに手放すだろうか。長い目で見れば一等地は間違いなく上がる。賃貸マンションやオフィスビルを建てれば末永く収益を生み出してくれる。
「売るなんてもったいない」と思う。売らずに活用することを考えるはずだ。一等地のなかでも特に良い場所――例えば駅に近くて静かなど希少価値の高い場所であればなおさら売らない。
それで、都心・準都心部では土地の売り物が減り、それに伴って新規のマンション分譲も減少。希に売り出されるマンションは希少価値があるため高い値段でも売れてしまう。そんな現象が続いているのである。 |