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#マンション構造のヒミツ

2018.07.25

ひとくちにマンション構造「RC造」と言っても実はいろいろ!?

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マンションでよく採用される「RC造(鉄筋コンクリート造)」にも、造り方や構造の方式で、いくつかの種類があります。それぞれのRC造が採用される理由と、メリット・デメリットはどのようなところにあるのでしょうか?それぞれの特徴を押さえれば、購入やリフォームで役立つでしょう。

RC造がマンションで主流となっているのはなぜか

マンションでは「RC造」という用語が頻繁に用いられます。これは、鉄筋とコンクリートを組み合わせた「鉄筋コンクリート造」を表す言葉で、鉄筋で補強された人工的な石のようなものを、建物の主要な骨格にした構造物です。

鉄筋コンクリートの品質については前回の「100年マンション」で詳しくみましたが、RC造は規模の大小を問わず、多くのマンションで採用されています。頑丈で耐久性や耐火性、対腐朽性に優れ、重量があり、遮音性が高いことが主な理由です。

オフィスや商業用のテナントビルでは、S造(鉄骨造)が使われることが一般的です。しかし、マンションではS造が採用されることはあまりありません。S造はしなやかで強く、大きな空間をつくりやすいのですが、大地震のときに大きく揺れる傾向があるためです。またRC造に比べると、隣同士や上下階の住戸での音が伝わりやすいからです。

なお、高層マンションでは、RC造の柱や梁の中に鉄骨を入れた「SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)」も採用されていました。しかし近年では、超高層のタワーマンションでも高い強度のあるコンクリートを使い、RC造でつくられることが多くなっています。

現在、マンションの鉄筋コンクリートは、建設する現場でつくられることが主流です。骨組みとなる部分に鉄筋を組んでから周りに「型枠」というパネルを立て、中にセメント・砂・砂利から成るコンクリートを流し込み、固まるのを待ってから型枠を外して出来上がります。

建物の骨組みは人間の骨と同じように、まず頑丈であることが求められます。建物本体の重さを長期に渡って支え、地震や強風などで建物の外から加わる力に対して耐えなければなりません。そうとはいえ、建物の柱や梁といった骨組みを太くしすぎると、建物の中の居住スペースが小さくなってしまいます。

また、重くなりすぎると外からの力の影響を受けやすくなり、材料費や建設費が余計にかかります。RC造の骨組みのサイズや量は、絶妙なバランスの中で決まっているのです。

壁式構造では大掛かりな間取り変更はできない

RC造には、棒状の柱と梁を一体的に接合してフレームにする「ラーメン構造」と、面状の壁で箱のようにつくる「壁式構造」があります。マンションの室内で見ると、柱や梁が出っ張って現れているのがラーメン構造で、柱や壁の凸凹が出ていないのが壁式構造です。

壁式構造では、壁の中に柱と梁が含まれているイメージです。壁式構造には、床や壁を工場であらかじめパネル化して、現場に運んできて組み立てるものもあり、「壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造(PCa)」といいます。

壁式構造のほうが室内に余計な柱や梁がなくスッキリとしていますが、壁式構造は一般的には地上の階数が5以下などの制約があります。壁式構造が用いられているのは、主に低層のマンションです。

また、ラーメン構造では間仕切り壁を将来的に動かすことができますが、壁式構造では動かしたり、撤去できない鉄筋コンクリートの構造壁が間仕切り壁として使われています。そのため間取りを変更することは、壁式構造では難しいといえます。

将来、家族構成の変化などによって部屋の数や大きさを変えたり、ワンルームの大空間にしたい場合、また浴室などの水回りの位置を変えたい場合などは、壁式構造のマンションは向いていません。

一方、ラーメン構造の住戸内の間仕切り壁は、構造とは直接関係がありません。現在の間仕切り壁は、LGSという軽量鉄骨の材料を並べて立ててビスで固定し、その上に石膏ボードを留め付けて造られます。

これらは取り払っても構造に影響がなく、工事は必要ですが間取りの変更が比較的しやすいといえます。ただし軽い造りの間仕切り壁は音を通しやすいので、音を伝わりにくくするためには厚い石膏ボードを重ね張りするなどの方法がとられます。

邪魔な柱や梁を隠す工夫も進歩している

ラーメン構造では欠かせない柱や梁ですが、室内に出っ張ると家具などの配置に制限がかかって使いづらい、見た目にうるさいなどのデメリットがあります。ですが、近年は柱や梁を居室の外へと追い出したり、効率的に隠す工夫が進んでいます。

「アウトフレーム工法」は、その一つで、住戸の外壁側にあった柱や梁をバルコニー側に出すというものです。こうすることで室内空間はスッキリとし、広々と使えるようになります。ただし、バルコニー側に梁が出ると、梁が窓よりも前へ出ているため、日光が入りにくくなります。

このデメリットを解消するために編み出されたのが「逆梁アウトフレーム工法」です。これは梁を上階の床上に出したうえで、バルコニーのさらに外側へと追い出すというもの。外壁側の梁がなくなるので、「ハイサッシ」と呼ばれる、背の高い開放的な窓を設けることができます。ただし、そのぶんバルコニーの面積は狭くなります。また、梁の高さが大きい場合、せっかくの窓からの視線は梁で遮られてしまうことになります。

何事もメリットとデメリットは隣り合わせです。RC造の種類でも、それぞれの特性が自分たちの暮らしに合っているかを見極める必要があります。マンション選びでは実際に見て確かめ、造りや性能について分からないことは積極的に担当者に聞いてみましょう。

加藤純(かとう・じゅん)

加藤純(かとう・じゅん)

1974年生まれ。建築ライター・エディター。出版物やWEBコンテンツ等の企画・編集・執筆を行い、意匠・歴史・文化・工学を通して建築の奥深さを広く伝える。1997年東京理科大学工学部第一部建築学科卒業、’99年同工学研究科建築学専攻修士課程修了。株式会社建築知識(現・エクスナレッジ)月刊「建築知識」編集部を経て、2004年独立。著書に『日本の不思議な建物101』(エクスナレッジ)、『「住まい」の秘密』<一戸建て編><マンション編>(実業之日本社)など。

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