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住宅ローンコラム 知っておきたい!住宅ローンテクニック

住宅ローンの団信はどう考える?がんや3大疾病、就業不能特約は?

2017年09月11日

住宅ローンを選ぶ際、多くの人が迷うのが団体信用生命保険(団信)ではないでしょうか。がんや3大疾病、8大疾病、就業不能など、住宅ローンによってさまざまなものがあります。どのような考え方で選択するといいのでしょうか。整理してみましょう。

団体信用生命保険とは?

住宅ローンを借りる際には、多くの金融機関で、団体信用生命保険(以下「団信」)への加入が要件になっています。保険料は通常、金利に含まれます。つまり金融機関が負担しますが、一部、団信への加入が任意になっている住宅ローン商品(代表商品が「フラット35」)では、別途保険料(「フラット35」では団信特約料)が発生します。

団信は死亡・高度障害保障で、ローン返済中に、万が一、契約者が亡くなったり高度障害状態(「フラット35」の一部商品では2017年10月より身体障害1・2級)になった時には、保険金が下りて、残額を返済できるしくみになっています。つまり、団信に入っていれば、万が一の時でも、家族に負担を残すことなく、銀行に全額完済できるのです。
ひっくり返せば、住宅ローンを貸し出す金融機関にとっては、貸した相手に万が一のことがあった時でもお金を確実に回収するためのリスク回避策と言えます。

多様化する特約付き団信

最近は、死亡・高度障害に備える団信に付加できる、さまざまな特約が登場しています。標準タイプの団信は「フラット35」など任意で付けるタイプを除いて無料ですが、特約付き団信については多くは金利上乗せがあります。

まず、「がん保障特約」は、がんと確定診断されると、団信から保険金がおりて住宅ローンが完済されます。中には、50%だけ完済されるといったものもあります。また、「3大疾病特約」は、がんと確定診断されたり、脳卒中、急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上継続した場合などに、保険金がおりて住宅ローンが完済されます。一定期間は住宅ローン分を負担してくれて、それ以上症状が続くと完済されるタイプもあります。

「8疾病特約」はがんと確定診断されたり、脳卒中、急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上継続した場合のほか、5疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)で働けなくなると、一定期間は毎月の住宅ローン返済額が保険金で補填され、さらに1年超、就業不能状態が続くと、住宅ローンが完済されます。慢性膵炎を除いた7疾病が対象となる住宅ローンもあります。「全疾病保障」(8疾病特約+病気・ケガによる就業不能)は、就業不能状態になると、1年までは住宅ローンを保障してくれて、その状態が1年超続くと、保険金がおりて住宅ローンが完済されます。がんのみ確定診断で完済。8疾病のほか、すべての病気・ケガの就業不能が対象ですが、住信SBIネット銀行では8疾病以外は入院が条件となっています。また、住信SBIネット銀行には3か月の「待ち期間」も設定されています(「待ち期間」とは保障が始まるまでの期間です)。

「要介護状態」だけを保障する住宅ローンはありませんが、他の保障にセットされている場合もあります。要介護2以上など所定の要介護状態になると、住宅ローンが完済されます。

死亡・高度障害の団信は多くの場合は無料です。しかし、こうした特約を付けると、一部は無料のものもありますが、一般的には金利が0.1~0.45%程度上乗せになります。これら金利が上乗せされるタイプは、途中で特約を外すことはできませんので、本当に必要な保障かどうかを十分に考えた上で選択しましょう。

表1 特約付き団信の例
保障概要金利上乗せ
がん保障特約 がんと確定診断されると、団信から保険金がおりて住宅ローンが完済されます。中には、50%だけ完済されるといったものも。 0~0.1% 千葉銀行、じぶん銀行ほか
3大疾病特約 がんと確定診断されたり、脳卒中、急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上継続した場合などに、保険金がおりて住宅ローンが完済される。一定期間は住宅ローン分を負担してくれて、それ以上症状が続くと完済されるタイプも。 0.25~0.3% りそな銀行ほか
8疾病特約 がんと確定診断されたり、脳卒中、急性心筋梗塞で所定の状態が60日以上継続した場合のほか、5疾患(高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎)で働けなくなると、一定期間は毎月の住宅ローン返済額が保険金で補填され、さらに1年超、就業不能状態が続くと、住宅ローンが完済されます。女性に女性特有のがんで診断給付金が付くものも。 0~0.45% イオン銀行ほか
全疾病保障
(8疾病特約
+病気・ケガによる就業不能)
就業不能状態になると、1年までは住宅ローンを保障してくれて、その状態が1年超続くと、保険金がおりて住宅ローンが完済されます。がんのみ確定診断で完済。8疾病のほか、すべての病気・ケガの就業不能が対象ですが、8疾病以外は入院していることが条件となってる場合も。また、3か月の「待ち期間」が設定されているところもあります。 0~0.45% 住信SBIネット銀行、静岡銀行、全国地方銀行協会ほか
要介護状態 要介護状態だけを保障する住宅ローンはありませんが、他の保障にセットされている場合も。要介護2以上など所定の要介護状態になると、住宅ローンが完済されます。 りそな銀行ほか

つける?付けない?団信の特約

前項で団信の特約の例を見てきましたが、これ以外にもいろいろあります。そもそも団信の特約は付けたほうがよいのでしょうか。

これについては3つの点から判断するといいでしょう。

まず1つが、住宅ローンを借りる人自身のリスクマネジメント面です。入っている保険も含めて検討する必要があります。例えば、がん保険や就業不能保険に入っているのであれば、住宅ローン団信はシンプルなものでいいでしょう。無料の特約であれば問題はないですが、コストをかけてまで保障のダブり状態にはしないようにしましょう。

2つ目は、コスト面です。
例えば3000万円を返済期間35年、全期間固定金利1.2%、ボーナス払いなし、元利均等返済で借りるとき、団信の特約を付けたことで金利が0.3%上乗せになれば、住宅ローンの総返済額は約60万円増えます。それだけ払って付けたい保障かどうか、よく検討するようにしましょう。

表2 3,000万円を期間35年で借りた場合の団信特約保険料
(ボーナス払いなし、元利均等返済)
金利月返済額(円)差額(円)総返済額(万円)差額(万円)
1.20% 87,511 3,675.4
0.1%上乗せ 88,965 1,454 3,735.7 60.3
0.3%上乗せ 91,855 2,890 3,857.9 122.2

(ノムコムの住宅ローンシミュレーターで筆者が試算)

もう1つは、そもそもの住宅ローンの魅力です。金利や事務手数料、団信保険料(特約料)などで比較して、有利である商品を絞り込んだ上で、さらに団信を比較する流れで考えるのです。まず団信ありきで住宅ローンを選ぶのではなく、住宅ローンを選んだ上で団信を検討するようにしましょう。そうすると、候補となる団信も絞られてくるはずです。

特約付き団信で金利上乗せの場合は、途中でつけることや、途中で外すことができませんのでじっくり検討しましょう。

引受基準緩和型の団信も

団信に関してもう1つ、知っておきたいことがあります。持病や既往症がある人で一般の団信に入れないこともあります。その場合の選択肢は次の2つです。
1・「フラット35」に団信なしで加入する
2・一部の金融機関が扱う「ワイド団信(引受条件緩和型団信)」を利用する。

「フラット35」に団信なしで加入する場合は、他の生命保険で十分に保障がカバーされているか、あるいは貯蓄が多いため保障は不要と考えるなど、問題がない場合に限ります。保障がそもそも十分でない人が住宅ローン団信にも入らないケースは、避けたいもの。もしものときに遺族の重い負担を残すことになってしまいます。保障不足の状態であるなら、「ワイド団信」を検討するといいでしょう。

「ワイド団信」は健康上の理由で通常の団信に加入できない人向けの団信です。加入条件が一般の生命保険よりも緩くなっています。三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、ソニー銀行をはじめ取扱いがありますが、引受緩和型の団信に加入する場合は、金利が年0.2~0.3%程度高くなります。通常、0.3%程度の金利が上乗せされます。銀行等の住宅ローンは、団信に加入できないと借り入れ自体ができないので、健康状態に不安がある人はワイド団信を扱う金融機関を選ぶか、または「フラット35」を選択することになるでしょう。

ただし、持病や既往症があっても通常の団信に入れることもあるので、まずは一般の団信に申し込み、審査が通らなかった場合にワイド団信に申し込むというひと手間をかける意味はあるでしょう。

特約付き団信同様、ワイド団信も1度契約すると途中で変更はできませんので(借換えすれば別ですが)、やはりじっくり検討して決めたいものです。

執筆者:豊田 真弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー
FPラウンジ ばっくすてーじ代表。経済誌・女性誌等のライターを経て94年よりFPとして独立。「家計の永続性」をテーマに、個人相談や講演・研修、雑誌や新聞、サイトへの寄稿、監修などを行う。「住宅ローン賢い人はこう借りる」(PHP研究所)、「50代家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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