不動産コラム
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2008.9.29:Vol.199

平成20年基準地価の発表

国土交通省が9月18日発表した7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)は、全国ベースの住宅地で△1.2%(前年は△0.7%)とやや下落幅が拡大し、商業地では△0.8%(前年は△1.0%)と、引き続き下落しましたが下落幅は僅かに縮小しました。三大都市圏では、平均で住宅地+1.4%(前年は+4.0%)、商業地+3.3%(前年は+10.4%)と、共に上昇幅が縮小しました。

住宅地の変動率は全国平均で昨年△0.7%から△1.2%と下落基調は継続し、やや下落幅が拡大しました。
圏域別に見ると、三大都市圏では昨年+4.0%から+1.4%と上昇幅が縮小しました。都心部のブランド力の高い地域や高級住宅地、高度に商業・業務機能の集積した地区等において10%以上の上昇率があったものの、その上昇幅は縮小し、圏域縁辺部にいくにつれ横ばい・下落地点が増加しました。地方圏では昨年△2.3%から△2.1%と引続き下落したものの3年連続して下落幅が縮小しています。
東京圏の住宅地の年間変動率を、半年毎に追ってみますと「表1」のようになります。
東京圏の住宅地では、平均で1.6%上昇し、前回よりその幅は縮小したものの上昇を維持しました。東京都区部では、23区のうち19の区で上昇となりました。上昇率としては、五番町に代表されるブランド住宅地に対する高い評価が底上げした千代田区(+7.7%)を筆頭に、東京メトロ副都心線「雑司が谷」駅より至近という、新線・新駅開業効果の存在が推定され16%の伸びがあった地点を擁する豊島区(+4.6%)・つくばエクスプレス「六町」駅より至近で昨年に引続き新駅効果が持続したと推定される地点を擁する足立区(+4.0%)と続きます。新線・新駅の開業・再開発など明確な利便性の相対的向上がみられたエリアは価格上昇がみられ、都心部や駅至近の伝統的なブランド住宅エリアは底固い評価により価格上昇がみられました。他方、前回20%以上の上昇率を記録した港区・渋谷区はそれぞれ△2.3%・△3.7%と下落に転じ、目黒区・品川区もそれぞれ△1.1%・△2.6%と下落に転じています。直近で15%を超える大幅な価格上昇があったエリアでは購入できる個人や法人が限られるうえ、これまでのような高価格では成約に至らないケースがままあり、需要の減退があったことが窺われます。全体の傾向としては小幅の上昇基調にあったといえます。
東京都下の住宅地では、昨年10%以上の上昇率を記録した武蔵野市・三鷹市・調布市・小金井市が横ばいまたは5%以下の上昇にシフトし、東大和市・武蔵村山市では住宅需要の減退を反映して下落に転じました。武蔵村山市では、一昨年大手自動車メーカーの大規模工場跡地に大規模商業施設が建設され、将来性への期待から周辺に住宅が比較的高額で大量供給されたものの、供給過剰感と景気の冷え込みによる購買意欲の低下から契約率の低下があり、ひいては地価の下落につながった動きなどが象徴的でした。
神奈川県・千葉県・埼玉県の主要な都市では川崎市(+3.5%)・横浜市(+3.3%)・千葉市(+1.0%)・さいたま市(+2.3%)等、いずれも上昇基調は維持したものの、その幅は縮小しました。高額マンションの大量供給が続いた千葉県浦安市・市川市では供給過剰感から契約率低下、地価の下落へとつながり、両市は昨年の上昇基調から下落に転じました。他方、川口市・鎌倉市・藤沢市等、都心に近接し環境の良好な住宅エリアでは平均上昇率が僅かながら拡大しました。また小田原市は17年ぶり・秦野市及び厚木市は18年ぶりに平均で上昇に転じました。ただし過去にも、東京都心部に端を発した地価調整局面が都下郊外部・横浜市・川崎市都心部へ波及し、やがて神奈川県郊外部へ波及していく時間差が観測されており、今後の調整局面の到来も懸念されます。
大阪圏の住宅地では、平均で1.0%上昇し、前回の調査に続き僅かな上昇を維持しました。都心回帰の動きの中、圏域の中心都市では大阪市・京都市が3年連続、神戸市・奈良市が2年連続で上昇したほか、伝統的な高級住宅地においては依然5%を超える上昇率を示す地点も見られました。阪神地域では芦屋市・西宮市等が、大阪市郊外部では豊中市・高槻市・茨木市・堺市等が、京都市近隣では京都市・宇治市等が、3年連続して平均で上昇となりました。奈良市近隣では根強い需要の存在と新線効果の持続により奈良市・橿原市・生駒市が2年連続で平均で上昇しています。
地方圏の住宅地は、全体としては平均で△2.1%と下落(昨年△2.3%)しましたが、4年連続で下落幅が縮小しました。こうした動きの中で、伝統のある高級な別荘地である長野県軽井沢市ではその根強い人気を反映して3年連続平均で上昇となり、北海道倶知安町・沖縄県石垣市及び恩納村でも観光需要の増大等を背景に平均で上昇となった動きが注目されます。
東京圏の商業地は、景気減速や海外の金融不安による投資マネーの縮小もあり、全体として上昇基調は維持したものの、その幅は縮小しました。ブランド力の極めて高い銀座を有する中央区・地下鉄副都心線開通効果のあった新宿区などのエリアでの上昇の継続が見られました。反面、昨年30%の上昇率がみられた港区・渋谷区では街路条件・画地規模等の条件において投資対象として劣る地点を筆頭として下落もみられました。これらの地域では、投資ファンド等の市場参加者が投資環境の変化を受け、個別の物件に対する選別性を強めたことなどが注目されます。
大阪圏の商業地は平均で2.8%の上昇となり、前回からは上昇幅が鈍化しました。大阪駅周辺や御堂筋沿いの地域では依然として15%を超えて上昇した地点もみられるものの、その他の地域では急激な地価上昇への警戒感等を背景とした需給バランスの調整により不動産市場が停滞し、市場における物件の選別性が高まりました。京都市・神戸市でも中心部とその他の地域に同じような関係がみられます。大手電機メーカーの大規模工場が新設された大阪府堺市で上昇がみられたことが注目されます。
地方圏の商業地では、自動車産業を中心とした比較的好調な地域の経済状況を反映した愛知県刈谷市・豊田市及び安城市などで上昇がみられたことが注目されます。