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ノムコムトップページ > 家ココチトップ > 家ココチ[vol.1] 子供のココチ 「小さくても自分だけの空間が欲しい・・・・」
小さなアイデアが住まいを変える
家ココチ IE KOKOCHI
4月27日 vol.1 「小さくても自分だけの空間が欲しい…」
Profile
彦根建築設計事務所
1990年、彦根明・彦根アンドレアにより設立。家族のふれあいを大切にした住宅を、多数手がける。
彦根明
1962年埼玉県生まれ。
東京芸術大学建築学科卒業、磯崎新アトリエ勤務の後、現在に至る。東海大学非常勤講師。
彦根アンドレア
1962年ドイツ生まれ。
シュトゥットガルト工科大学卒業、團・青島建築設計事務所、磯崎新アトリエ勤務の後、現在に至る。
間取り図
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Kokochi01 人として必要な、一人の部屋

都内の閑静な学園都市にある、建築家の彦根明さん・アンドレアさんの事務所兼自宅。高台の敷地は、道路面にある事務所が法規上の地階にあたり、1・2階が住居になっています。1階はキッチンと吹き抜けのダイニングスペース、バスルームなど家族共有の場所。2階には、中学3年生の長女、小学5年生の次女を含めた、家族それぞれの個室が並びます。家の設計は、この4つの個室を並べるところからスタートしました。

姉妹の個室は、ベッドの下に勉強机をすっきりレイアウト。ファブリックの色も本棚の配置も姉妹によって違いが。それぞれフェレットとハムスターと同居中。

まず個室ありき。「子どもに限らず、誰でも一人になりたい時があるもの。ある程度の年齢以上は、個室がないとストレスになるから」とアンドレアさん。けれど「こもってすべてが充実するわけではない」と明さんが話すように、個室はどれも同じ4畳の広さ。ベッドと机、棚が置ける程度のミニマムなものです。眠ることと、自分の時間を過ごすために必要な最小限のテリトリーは、本能的に落ち着ける広さに感じられます。最小限とはいえ天井が高く、南のハイサイドライトから光が差し込む、明るくて気持ちのいい空間。この条件も、すべての個室に共通したものです。

Kokochi02 泣いて笑って、音も気配も共有する
グリッド状の落書きもにぎやかなオフィスの打ち合わせ机。子どもたちもその友達も自由に出入りできるからこそ、大人との付き合い方も自然に身につくのでしょう。

個室以外はすべて共有スペース。2階のコミュニケーションスペースにはゲームやテレビがあり、長女が友達と遊ぶのもこの場所です。吹き抜けでつながるダイニングルーム、階段室で声が届く事務所スペースなど、共有スペースに仕切りはありません。個室入り口の引き戸はごく自然な習慣として開放しているため、どこにいても、互いの気配が常に感じられる環境です。

子どもたちは、事務所の玄関から帰宅し、勉強するのも事務所やダイニングといった人の気配を感じる場所だそう。「以前の家では親子が川の字で眠り、食事スペースの脇に子供スペースがありました。一緒にいることの大切さ、安心を肌で感じているのでしょう」と夫妻は見ています。誰かが見てくれているというだけで、子どもたちがコミュニケーションをとりやすい雰囲気が生まれます。「泣いて笑って、様子がよくわかる。それなりに音や声が気になるし、けんかの材料になることも(笑)。でもテレビや音楽がうるさい時は、お互い様でボリュウムダウンすればいい」(アンドレアさん)。

Kokochi03 任せられる範囲、が個室の意味合い
家の中心にはダイニング。開口部を北側に設けたからこそ実現した気持ちの良い空間です。仕切りをなくし、常に人の気配を感じることが、家族仲良しの秘訣。

実は彦根家には、リビングがありません。子どもと一緒に過ごす短い期間を考え、コミュニケーションスペースを優先したためです。家族が集まるのは、もっぱらダイニングスペース。家族の衣類も、ダイニング隣のコンパクトな収納室に集約しています。大人も子どもも忙しく、時間がない現代では、食事や入浴、着替えのちょっとした時間が、大事なふれあいのタイミングなのです。

さらに、プライバシーの尊重と、子ども部屋の要素を減らしてシンプルにすることも、収納を集約したねらいでした。「複雑さをなくし、子どもが自分でも片付けやすい部屋にしました。できたことを大人に見せられる。できるとほめられる。その自信と責任を持てるように」

子どもができる範囲、信じられる範囲を大人が判断し、その中で一人の人間として認めること。個室の意味は、そこにあるようです。個室以外のスペースは、すべて家族の共有、みんなの家。大事なモノはその理由を伝えて注意を促すなど、子どもが立ち入れない場所をつくらないのが、彦根家のスタイルです。

個と共有のメリハリ。個室単体で考えずに、共有スペースとの相乗効果で見直してみれば、子どもはひとりの居場所、みんなとの居場所と、自由に使いこなすのかもしれません。そしてちょっとした工夫で、共有スペースがコミュニケーションの場所に変わりそう。家がまた少し、ココチよくなるはずです。

(取材・文 甲嶋じゅん子)

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