知っておきたい
一戸建て購入のキホン

基礎知識
2017.07.10

住環境を左右する「用途地域」の基礎知識

土地の利用にあたっては、都市計画法や建築基準法などによるさまざまな制限があります。数多い制限の中でも、一戸建てを購入する前にぜひ知っておきたいのが「用途地域」の規定。これによって住環境や街並みが大きく左右されるのです。

用途地域の規定によって住環境がどう変わるのか、主なポイントを確認しておきましょう。

用途地域は住居系、商業系、工業系の12種類がある

建築物は住宅用途のものだけでなく、ビジネスや商業、飲食、娯楽などさまざまな用途のものがあります。風俗営業のように、住宅周辺には好ましくないものもあるでしょう。用途地域とは、いろいろな用途の建物が無秩序に混在することを防ぎ、地域ごとに合理的な規制をしようとするもので、都市計画法には次の12種類が定められています。

【住居系】
□ 第1種低層住居専用地域
□ 第2種低層住居専用地域
□ 第1種中高層住居専用地域
□ 第2種中高層住居専用地域
□ 第1種住居地域
□ 第2種住居地域
□ 準住居地域

【商業系】
□ 近隣商業地域
□ 商業地域

【工業系】
□ 準工業地域
□ 工業地域
□ 工業専用地域

これらの用途地域のうち、住宅を建てることができないのは工業専用地域だけ。他の用途地域なら一戸建てを建てることができますが、第1種低層住居専用地域から商業地域に向けて次第に制限は緩くなり、住宅地としての環境は大きく異なります。

種別 用途地域 一戸建ての建設 制限
住居系 第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
商業系 近隣商業地域
商業地域
工業系 準工業地域
工業地域
工業専用地域 ×

それぞれの用途地域の特徴は?

ここでは用途地域ごとの主な特徴をご説明します。なお、同じ用途地域でも、それぞれのエリアの特性や容積率(敷地面積に対する延べ床面積の上限)の組み合わせなどにより、街並みの様子がずいぶん違う場合もあります。

■住居系
□ 第1種低層住居専用地域
建物の高さは10メートルまたは12メートルに制限され、容積率も低めに抑えられます。そのため、2階建ての一戸建てが大半を占めるようになり、住宅地の環境として最も優れた地域です。一般の住宅のほか、共同住宅、小規模な兼用住宅(店舗・事務所など)、小・中・高等学校、老人ホーム、診療所なども建てることができます。また、マンションが建てられる場合でも、3階建てまでの低層になります。

将来、自宅を改装してレストランやカフェを開きたい、弁護士や税理士などの資格を取って個人事務所をつくりたい、などというときには面積の制限に注意が必要です。第1種低層住居専用地域では専用の店舗や事務所が認められないほか、兼用住宅の場合でも店舗や事務所部分は延べ床面積の2分の1未満、かつ50平方メートル以下でなければなりません。

□ 第2種低層住居専用地域
建物の高さが10メートルまたは12メートルに制限される点は第1種低層住居専用地域と同じですが、指定される容積率がやや大きくなり、3階建ての住宅やアパートなどの割合も増えます。店舗や飲食店なども条件付きで150平方メートルまで認められるようになるため、生活の利便性も少し高まりますが、実際に第2種低層住居専用地域に指定されているところはごくわずかです。

□ 第1種中高層住居専用地域
低層住居専用地域で認められる用途に加えて、病院や大学、500平方メートルまでの一定の店舗なども建てることができます。建物の高さや容積率の制限が低層住居専用地域よりも緩やかになるため、都市部では中高層マンションが目立つものの、一戸建ても数多く存在する地域です。

□ 第2種中高層住居専用地域
1,500平方メートルまで(2階以下)の店舗や事務所なども認められるため、住宅以外の混在が進んできます。やや広めの通り沿いに指定されることが多いでしょう。

□ 第1種住居地域
12種類の用途地域の中では最も指定面積が広く、住居系の用途地域でありながら制限は比較的緩やかです。3,000平方メートルまでの店舗や事務所、ホテル・旅館などのほか、50平方メートルまでの小規模な工場なども建てることができます。基本的には住宅が中心ですが、大規模なマンションも多く、一戸建ては3階建てあるいは4階建ての鉄筋コンクリート造という場合も少なくありません。

□ 第2種住居地域
幹線通り沿いに指定されることが多く、パチンコ店やカラオケボックスなどの立地も認められます。オフィスビルや店舗に混じって住宅が存在するイメージですから、この地域内の住宅を検討するときには、周囲の環境をしっかり確認することが大切です。

□ 準住居地域
住居系の用途地域の中では最も制限が緩やかになり、営業用倉庫、小規模な自動車修理工場・劇場・映画館なども認められます、比較的大きなマンションやオフィスビル、店舗などの混在も進んで「住宅街」のイメージはなくなりますが、実際に準住居地域に指定されているところはそれほど多くありません。

■商業系
□ 近隣商業地域
駅前通りの商店街などが近隣商業地域に指定されていることが多く、日常生活のための店舗やスーパーなど、やや賑やかな環境になります。150平方メートルまでの工場なども認められますが、一戸建てやマンション、アパートなども比較的多く建てられています。静かな住環境よりも利便性を重視する場合には選択肢に入るでしょう。

□ 商業地域
都心部や主要駅の周辺が商業地域に指定され、一定の工場などを除いてほとんどの用途の建築物を建てることができます。商業施設のほかオフィスビルや超高層マンションが目立ち、「繁華街」のイメージも強くなります。

相対的に地価が高くなるため、古くからある住宅を除いて一戸建てはほとんどありません。また、基本的には住環境が重視されることのない地域であり、日照を保護するための規定も適用されないことになっています。

■工業系
□ 準工業地域
商業地域に次いで制限が緩やかで、一定の風俗営業店と環境悪化の恐れが多い工場などを除いて、ほとんどの用途の建築物を建てることができます。昔から町工場が多い住宅地に指定されていることが多く、準工業地域に建てられるマンションや一戸建ても少なくありません。ただし、平日と休日で様相が大きく異なる場合もありますから、現地見学の際には注意が必要です。

□ 工業地域
工業用途の建物が主体であり、住宅は工場に挟まれて存在するイメージになります。工場跡地の再開発などで大規模なマンションや一戸建てが建てられることもありますが、周辺環境には十分な注意が欠かせません。

□ 工業専用地域
12種類の用途地域の中で唯一、住宅を建てることができない地域です。

都市計画図を確認してみよう

購入しようとする一戸建ての敷地がどの用途地域なのかについては、物件広告の概要欄に記載されているほか、契約の前には宅地建物取引士から詳しく説明されるでしょう。

しかし、たとえば同じ「第1種低層住居専用地域」でも、その指定範囲の中心付近なのか、他の用途地域に隣接する場所なのかによって、周囲の様子が大きく変わることもあります。「商業地域」と「第1種低層住居専用地域」が隣り合っているケースも実際にあるのです。

物件見学の際に周辺の様子をよく観察することはもちろんですが、可能であれば都市計画図を自分の目で確認するようにしましょう。営業担当者に頼めば都市計画図を見せてもらえる場合も多いほか、自治体のホームページで公開されているケースもあります。

執筆者:平野 雅之(ひらの まさゆき)
宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター
不動産コンサルタント会社「リックスブレイン」代表
東京・神奈川を中心に20年以上にわたり不動産売買取引の仲介業務に従事。豊富な実務経験をもとに、実践的なアドバイスなどを一般消費者向けに提供している。総合情報サイトAll Aboutで「不動産売買」のガイドを務めるほか、数多くのメディアでの情報発信やセミナーなども行っている。

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