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不動産コラム vol.99

■住宅金融公庫の証券化支援による 民間の「証券化住宅ローン」が10月からスタート
「証券化住宅ローン」と呼ばれる、新型の固定金利住宅ローン。10/1より、いくつかの民間金融機関で取扱いが開始されました。 住宅金融公庫の融資業務は今後段階的に規模縮小され、2006年度末までに公庫を引継ぐ新たな独立行政法人を設置する事が決定していて、これに伴って公庫は民間住宅ローンを証券化支援という形でバックアップする組織に変わっていきます。  
住宅金融公庫の証券化支援事業とは、これまで公庫が中心であり民間金融機関はほとんど取り組むことのなかった「長期間・固定金利タイプ」の住宅ローンについて、民間金融機関が安心して供給できるよう、公的に支援していくことを目的としています。  
従来、長期・全期間固定金利の住宅ローンというのは今のところ、年金融資と住宅金融公庫融資しか無く、公庫が廃止されると、夢実現の一つとしての「マイホーム購入計画」に大きな影響を与えることになりますが、その代替案として、今回の証券化による支援業務という形が考案され、組織も生まれ変わることになります。  
今回スタートした証券化支援事業「買取型」の考え方(スキーム)は下図のようになります。  
※民間金融機関が融資した住宅ローンの債権(返済してもらう権利)を公庫に売却。
 公庫は債権を担保とした証券(資産担保証券=MBS)を投資家に販売し、
 月々の返済を元に投資家に元利金を支払う。
借入条件は、
1. 返済期間20~35年、
2. 融資対象は新築住宅のみ、
3. 借入限度5000万円(物件価格の80%)
4. 金利は全期間固定(適用金利は金融機関によって異なる)
などとなっています。公庫との併用は出来ませんが、保証料不要、繰り上げ返済手数料無料といったメリットがあります。また、建物については審査が必要となりますので、一定の質が確保されます。
 
この仕組みの場合、公庫が信用リスク・流動性リスク(投資家へ期日どおりの元利払いを確約するコスト)を分担し、投資家が金利リスク・期限前償還リスクを分担すると共に、公庫の公的な信用力を背景として高い格付けの債権(AAA)を発行できるため、相対的に低利な住宅ローンを提供できることとなります。  
金利については、
1. 投資家に支払う利息、
2. 公庫が事業運営するための費用、
3. 民間金融機関の受付回収等費用、
を合わせて決定することになり、各金融機関で競争原理が働くことになりますが、現時点では3%台後半から4%台前半が予想されています。
 
なお、中古住宅についても証券化支援事業の対象とするよう法律で付帯決議されており、来年度の予算対象ともなっていますので、来年度から対象に加えられることとなるでしょう。  
この証券化業務が今後数年間にかけて普及していくのに伴い、民間金融機関の住宅ローン商品はこれまで以上に多様化し、特に長期固定金利型のローンについては、商品選択の幅がかなりひろがるのではないかと期待されています。ただし、10/1現在、都銀ではみずほ銀行UFJ銀行のみが参加表明をしている状況であり、むしろ地銀各行が積極的に参加しています。しばらくの間は、現行の公庫融資も継続されますから、利用者の関心度合いもまだ不透明な段階ですが、特に各行の金利の動向には注目しておきたいと思います。  
数年後には、公庫は住宅ローンの主役の座を下り裏方にまわることになりますが、アメリカでは同様の仕組みが既に30年以上前から実施されていることもあり、民間の長期固定型住宅ローンをバックアップするという意味において、公庫あるいは引継いだ独立行政法人が引き続き重要な役割を果たしていくこととなりそうです。