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不動産コラム vol.68

建築基準法改正報告その3

7月12日公布の「建築基準法改正案」は、来年1月1日から施行されることとなる予定です。国土交通省は今回その政令案をまとめ詳細を公表しました。特に今回新たに創設され注目すべき内容としては下記の2点が挙げられます 。
 (1)「住居を含む建物」の容積率の緩和
 (2)「天空率」という概念による斜線制限の緩和

住居系建築物の「容積率」の割増規定(建基法52条7項―新設)

現在建築基準法の中で容積率を緩和する特例許可制度としては総合設計制度(59条の2)がありますが、都市再生を推進する為の法制度の改正という主旨から、手続きの迅速化合理化を目的として、総合設計の考え方を踏襲して、敷地内に「一定の空地」を確保することで、建築確認申請のみで容積率の割増が受けられる制度を創設するものです。必要な空地の基準は今後詳細に規定される予定です。

    表1:容積率の割増規定の内容

対象となる用途地域
※条例で独自の設定が可
第1種住居地域、第2種住居地域、準住居地域
近隣商業地域、商業地域、準工業地域
対象となる敷地規模
※条例で独自の設定が可
1種・2種住居、準住居、準工業――2,000m2以上
近隣商業、商業          ――1,000m2以上
必要とする空地規模
※公開義務はない予定
※例)基準建ぺい率が60%以上の場合
必要空地率=100%−建ぺい率(%)+20%
道路に接する有効な空地規模 上記の必要空地規模の1/2以上が道路に接している事


建物に占める住居系部分の割合によって基準容積率の最大1.5倍まで割増
※自治体によってこの最大割増率を独自に低めに設定できる為全国一律ではありません
一言で言えば「高度利用する住宅系建物については優遇します」という改正です。

天空率を採用した「斜線制限」の緩和規定(建基法56条7項―新設)

空地を確保して高度利用しようとしても、従来の斜線制限のままでは高い建物が建ちにくいので、これも従来は総合設計制度で対応していた斜線制限の緩和措置を建築確認申請のみで可能とする新たな制度を創設するものです。  道路や敷地の周囲に対して採光・通風の確保を図る目的で「斜線制限」という基準があるのですが、実質的にこれと同等以上の性能を確保した場合には、従来の斜線制限を適用しない事とする規定です。その性能を評価する手法として、『天空率』という概念が登場しました。天空率は「建築物によって遮られていない空の広さを表す」もので、いわゆる魚眼レンズによって捉えられる半球に映る『空の面積の割合』とでも表現できるものです。結果として、細長いスレンダーな建物が今後は街に増えそうです。

 

    表2:緩和対象の制限項目と天空率を比較する測定点の位置

道路斜線制限 全面道路の反対側の境界線上の測定点
隣地斜線制限 隣地斜線の延長線が地盤面と交わる線上の測定点
北側斜線制限 北側斜線の真北方向の延長線が地盤面と交わる線上の測定点

これらの算定は複雑な計算にはなりますが、緩和規定を知らないと損をするという面がありますので基本的な内容は理解しておきたいものです。

今回の建基法改正に伴って、宅建業法の重要事項説明の内容も追加されます。
 
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