2011.9.24:Vol.245

※各制度の適用に当たっては税理士等の専門家に確認のうえ実施して下さい。
年内一杯に活用したい制度(住宅資金贈与と住宅ローン控除)
新しい政権がスタートし、これから税制に関する議論も本格化すると思われますが、現行の制度では、1)贈与税の住宅資金贈与1,000万円非課税特例についてはH23年中が有効期限となっていますし、2)住宅ローン減税の適用限度額も今年の入居と来年入居とでは、対象となる借入限度額に1,000万円の差が生じる予定です。これらの制度の今年の有利性に注目してみます。
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税制関連で今年と来年で大きく異なる制度が2つあります。これを確認しておきましょう。
1.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の1,000万円非課税措置(今年限りの制度)
対象は平成23年中の贈与となりますが、注意点などをいくつか列挙してみます。
1)贈与を受ける人の年齢は贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上
2)贈与を受ける人の贈与を受けた年の合計所得金額は2,000万円以下であること
3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与資金の全額をあてて自宅の新築・購入等
をし、同日までにその自宅家屋に居住すること(又は遅滞なく入居できる見込みがあること)
4)登記簿上の床面積が50平米以上(※共有で取得した場合でも、家屋全体の床面積で判定)
5)中古住宅の場合は耐火25年、木造20年という築年制限(又は一定の耐震性能があること)
※1)暦年課税の110万円非課税枠又は相続時精算課税制度とのどちらかとの併用が可能
※2)贈与後に万一相続が発生しても「3年以内持ち戻し課税」の対象とはならない
※3)先行して取得する土地等も適用対象となる(来年3月15日迄の新築が対象)
2.住宅ローン減税:適用となる借入残高の額は今年の入居の方が有利です
適用となる限度枠は毎年縮小しています。一般住宅では今年中の入居では4,000万円迄
の年末残高が対象ですが、来年入居の場合3,000万円となりメリットが小さくなります。
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一方、リクルートが毎年実施している首都圏新築マンション契約者動向調査によると、
1)平成22年の住宅購入に際して1,000~2,000万円の贈与を受けている層の割合が、前年比で16.3%⇒27.3%と増加しているという実態があります(図1)。今年平成23年の非課税限度額は1,000万円ですが、贈与税は累進課税ですのでメリットは十分にあるといえます。
2)平成22年の住宅購入に際してローン借入額の分布をみてみると、3,000~3,500万円の借入額の層が最も多くなっています(図2)。ローン借入額の高い層では来年入居の減税適用借入残高が3,000万円に縮小になることから影響を受ける可能性が高くなると思われます。
※平成24年度の税制改正によって、制度の新設や変更がある可能性があります