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2007.12.10:Vol.188

住宅瑕疵担保履行法について

建築構造に関する信頼を回復する為の建築基準法等の制度改正が、順次実施されていますが、一連の改正の最後に登場するのが、住宅瑕疵担保責任の履行を確保する為の法律です。本年5月に法案が成立していますが、施行が2年後の平成21年秋予定ということもあって、関心の度合いはまだ小さいようですが、今から心の準備をしておかなくてはならない話題として概括してみたいと思います。

ここで取り上げる法律名は、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」と言います。2年前の秋に発覚した構造計算書偽造問題を契機として、住宅の買主の保護をさらに充実させる必要があるのではないかという観点にたって制定された法律です。

姉歯事件をきっかけにして整備される制度改正のあらましは次のようなものです。(1.は6/20施行済、2.は2008年秋施行予定、3.が今回取上げる課題です)
  1. 建築行政の課題 ⇒ 建築確認や検査の厳格化及び建築確認業務を適正化する
  2. 建築士制度の課題⇒ 建築士等の資質能力を向上し、業務の適正化と罰則を強化する
  3. 消費者保護の課題⇒ 従来の10年瑕疵担保責任をさらにカバーする制度の確立

先般の事件でもそうでしたが、新築住宅の売主等が十分な資力を持っていない場合、平成12年に施行の住宅品質確保法に基づく「10年間の瑕疵担保責任:主要構造部分と雨水の浸入」が履行されないケースがあり、その場合は住宅購入者(消費者)が極めて不安定な状態に置かれることが明らかとなったわけです。従来、品確法の瑕疵担保責任の履行を確保するために瑕疵担保責任保険が存在していますが、この利用が任意でもあり、利用率が供給戸数の1割程度に留まっているのが実態でした。

この新法における売主等の資力の確保の方法については、2通りの方法が示されています。
1. 供託 新築住宅の売主等に対し、供給戸数に応じた保証金の供託を義務付け
2. 保険 新設される住宅瑕疵担保責任保険契約に加入した住宅戸数分は上記供託義務から除かれる
法施行後は分譲住宅の売主と注文住宅の請負業者は、上記いずれかの義務が発生します。
スケジュールとしては、下記の日程が予定されています。
  • 平成20年春までに保険引受主体及び紛争処理体制を整備すること
  • 平成21年秋までに上記資力確保の義務付け制度の施行

供託金は、供給戸数の量が増加するにつれて1戸あたりの金額が低減される予定で、供給数の多い大手分譲業者ほど戸当り費用が安くすむことになりそうです。法律に示されている概算では、過去10年間の供給戸数で算定し、例えば1万戸の実績の業者は約4.4万円/戸に対し1000戸だと約18万円/戸と算出されます。また、これらの費用は事実上住宅価格に上乗せされる可能性もあります。

ところで、この法律の施行予定は2年後と先の話なので、今ひとつ実感が湧いてこないというところですが、実は、下記のような課題を含んでいると言われています。
  1. 法の適用は、法施行以降に引渡した物件が対象となること
  2. 保険適用とする場合は、着工時に保険の申込みをする必要があること
保険に加入する場合は、基礎工事や躯体工事などの施工段階で保険法人の検査を受ける必要があるため着工前の申込みが必要ですが、万一工期の延長があったり、売れ残り等により法施行後の引渡しとなった場合は、保険適用とならないこともあり得るため、工期や販売スケジュールを勘案しながら、あらかじめ対処する必要がありそうなのです。
一般的に、特にマンション等では、工期も1年以上かかるケースも珍しくはないため、早めの対応準備が必要だと、国土交通省でも注意を喚起しています。また、「新築住宅」とは竣工後1年以内の未入居のものをいう、ということも忘れないでおく必要もあります。