不動産コラムトップ  >  Vol.185
不動産コラム
地価や不動産の法律・税制、時事の話題などの情報を、さまざまな視点から解説・紹介しております。
コラムトップ 不動産価格 税金 法律・制度 社会動向 その他の話題
 
バックナンバー一覧

2007.10.15:Vol.185

住宅着工件数が大幅にダウンしています

建築基準法等の改正が6月20日に施行されましたが、その後、建築確認及び建築着工の現場で異常な状態が続いています。7月の着工統計の段階でその傾向が明らかになったあと、今回の8月の統計でさらに大きな影響が出ていることがわかりました。ただ、戸建住宅においては影響が既に縮小し始めていることはやや安心材料かも知れません。建物の構造の安全性を確保することは当然のことだけに、この混乱がいつ収束するのかあるいはしばらく続くのか、注視していきたいと思います。

先般、8月の建築着工統計が発表され、2ヶ月連続して新設住宅着工戸数が大幅に減少していることに注目が集まっています。
全国ベースでの8月住宅着工戸数は前年同月比43%減(7月23%減)の63,076戸となり、単月としては、異例の低い数字となりました。 その内「分譲住宅」の着工戸数は15,206戸(対前年比△52%減)、その内「首都圏マンション」は3,069戸(対前年比△71%減)という状況です。 「近畿圏マンション」は、同様に2,039戸(対前年比△48%減)となっており、首都圏マンションの落ち込みが激しくなっています。
なお、首都圏の中でも、千葉県と埼玉県が共に対前年比△90%超の減少です。
減少幅の小さい東京都でも△62%の減少となっています。

この大幅な着工数の減少は、6月20日に施行された「改正建築基準法」の影響によるものといわれています。今回の改正は、あの姉歯事件を受けて、建築構造審査の厳格化と建築確認手続きの厳格化が主な改正点となっています。6月20日以降建築確認申請の現場では、特に申請書類の厳格化に対する事業者設計者サイドの混乱が影響し、申請がストップし、受理がストップし、確認がストップするという状況が続いていると考えられます。
下表は国土交通省が公開した、最近の建築確認申請件数の推移を表したものです。4号建築物とは一般的な2階建木造住宅をいい、1~3号建築物とは、それ以外のビルやマンション等の建築物をいいます。
今回の建築基準法改正の特徴として、20M以上の建物等の構造のチェックを厳格化するというものがあり、この結果を見る限り、高層ビルやマンションをあらわす1~3号建築物の建築確認の件数が大幅に減少していることから、その影響の実態が把握できます。逆に、一般的な戸建住宅である4号建築物は特に8月に入って件数の減少度合いが小さくなっていることから、影響は沈静化しつつあるという見方も出てきています。

国や自治体でも対応策を実施し始めていますが、この着工数の減少は、まだしばらく回復するのに時間かかかるのではないかと言われています。特に新築マンション販売については、供給数の大きな変化等の影響が懸念されます。
[an error occurred while processing this directive]