不動産コラムトップ > コラムVol.163
不動産コラム
 Vol.163(H18.11.9)  


「建築士法等の一部を改正する法律案」が閣議決定


耐震強度偽装事件を受けて、建築確認申請の厳格化を図るために、本年6月に建築基準法等の一部を改正する法律が公布されています。今回閣議決定された法律は、その続編にあたるもので、「建築士そのものの能力を向上させることで、建築に対する信頼を回復しようとする動き」です。従来、建築物の信頼性は、設計者の「建築士」という資格に対する信頼を前提として成り立っていたといえ、今回の事件によってそれが見直されます。


建築物の安全性の確保と建築士制度に対する国民の信頼を回復するため、以下のような概要でこの法律案が10/24に閣議決定されました。開会中の臨時国会で成立する見込みです。
関連する法律は、建築士法、建築基準法、建設業法等となります。

1. 建築士の資質や能力の向上
(1) 建築士に対する定期講習の受講義務付け
(2) 建築士試験の受験資格の見直し
2. 高度な専門能力を有する建築士による構造設計及び設備設計の適正化
(1) 一定の規模の建築物について、今回創設される予定の新資格である、「構造設計一級建築士」・「設備設計一級建築士」による法適合チェックを義務付け。
⇒法適合がチェックされていない場合の建築確認申請の受理の禁止(建築基準法)
構造設計に関しては、高さが20M超のRC造の建築物等が対象
設備設計に関しては、階数3以上で床面積5000㎡超の建築物が対象
(2) 小規模木造住宅等に係る構造関係規定の審査省略見直し
3. 設計・工事監理業務の適正化と消費者への開示
(1) 建築士事務所を管理する管理建築士の要件の強化(実務経験等の要件を付加)
(2) 設計工事監理契約締結前に、管理建築士等による重要事項説明及書面交付の義務付
(3) 分譲マンション等の発注者とエンドユーザーが異なる一定の建築設計についての一括再委託を全面的に禁止
(4) 建築士名簿の閲覧、顔写真入りの携帯用免許証の交付
4. 団体による自律的な監理体制の確立
(1) 建築士事務所協会等の法定化及び協会による苦情解決業務の実施
(2) 建築士会や建築士事務所協会等による建築士に対する研修の実施
5. 建設工事の適正化(建設業法の改正)
(1) 分譲マンションなどの発注者とエンドユーザーが異なる一定の工事について一括下請負を全面的に禁止
(2) 資格者証の交付を受けた監理技術者の配置を要する場合を、学校や病院等の重要な民間工事にも拡大(現在は公共工事のみ)

これらをみると、こんなことが今まで実施されていなかったのかと思うような内容が多くあります。逆にいえば、「士」資格に対する信頼性という部分が崩壊した今回の事件という事も言えるでしょう。

リテール分野に関連する注目点は、2階建以下の小規模木造住宅(4号建築物と言われる)の建築確認において現行法では省略されていた耐震強度の審査を義務化する方針であること。従来、建築士による設計の場合は特例で審査が省略されていたのですが、今年6月の建売会社による耐震強度不足の発表等を受けて、検討されてきたものです。詳細についての今後の成り行きを注目したいと思います。