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不動産コラム
 Vol.145(H18.2.27)  


■ 住生活基本法について


国民の豊かな住生活の実現をめざし、住生活の安定確保・向上の促進に関する施策について、基本理念、国等の責務、住生活基本計画、その他基本となる事項について定めた「住生活基本法案」が2月6日、閣議決定されました。今通常国会に法案を提出する予定。戦前戦後を築いてきた同潤会や住宅公団、住宅金融公庫や住宅建設5箇年計画などの言葉が消えていきます。

これまでの住宅政策を概観すると、戦後の420万戸の住宅戸数不足に応急的に対応するため、昭和25年に住宅金融公庫が、昭和30年に日本住宅公団が設立されるとともに住宅建設に関する長期計画が策定されました。しかしながら昭和30年代後半から、人口の都市集中と核家族化が進行し、「1世帯1住宅」を実現するという目標が達成困難な状況となって、昭和41年に「住宅建設計画法」に基づいた「住宅建設5箇年計画」が策定され、8次計画(H17年で終了)まで実施してきました。ところが、実際には昭和48年にはすでに全都道府県で住宅数が世帯数を上回ったという状況となり、次の目標として「居住水準の向上」という課題の実現を目指してきたわけですが、大都市圏を中心として最低居住水準に満たない世帯がいまだ多く存在するという課題は未だ残ったままです。加えて「人口減少や高齢化社会の到来」という大きな転換点に差し掛かったところで、住宅政策にも転換が迫られていたといえます。

今回、政府・与党がまとめた住生活基本法案では、基本理念として 1.住生活の基盤である良質な住宅の供給 2.良好な居住環境の形成 3.居住のために住宅を購入するもの等の利益の擁護・増進 4.居住の安定の確保、の4つを設定しています。
この基本理念の上に、政府は全国計画を定め、都道府県は全国計画に即して都道府県計画を定めるものとする今後の住宅政策は、「良質なストック形成に向けた政策」が展開されることになります。
民間事業者の「責務」もうたわれており、住宅の設計・建設・販売・管理の各段階においての安全・品質・性能を確保する責務と、住宅に関する正確で適切な情報提供が求められています。
具体的な「基本的施策」として下記の点を国と地方公共団体に求めています。
良質な住宅の供給を図るための耐震を目的とした改築の促進、エネルギー使用の合理化、住宅の管理に関する知識の普及、といった施策を講じる。
住宅市街地の良好な景観の形成の促進と居住環境の維持向上。
事業者の責務としての「正確な情報の提供」や「性能表示制度の普及」と「中古住宅流通の円滑化を図る」ための施策を講じる。
これらの基本的施策に対し、具体的な目標を今秋までに策定することとなっています。計画期間は5年を予定。成果としての数値目標が策定されます(アウトカム目標という)。
良質な住宅ストック形成に向けての目標として、(1)新耐震基準適合率(2)新築住宅の次世代省エネ基準適合率(3)住宅のバリアフリー化率(4)重点密集市街地のうち最低限の安全性が確保された市街地割合(5)適正な長期修繕計画があるマンション管理組合の割合、を掲げています。
住宅市場の整備に関する目標では、(1)住宅性能表示実施率(2)住宅の平均寿命(3)中古住宅流通量(4)リフォーム実施量、を掲げています。
いずれも、住宅の流通に関わる重要な指標と言えます。この新基本法が中古住宅流通のあり方を根本的に変える可能性もあります。真の意味で、良質なストックを蓄積する新築部門とその良質なストックを活用する流通部門の両輪が必要な時代に入っていく事となるでしょう。大いに期待したいと思います。