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不動産コラム
 Vol.107 (H16.1.13)  


改正消費税法の実施


昨年消費税法の一部が改正され、平成16年4月1日から適用されます。なかでも「税込み」「税抜き」の両方が混在する表示方法については、税額を含んだ支払総額の表示を義務付ける「総額表示方式」として新たにスタートします。
事業者はその対応におおわらわのようです。


消費税は、通常、事業者(個人事業者および法人)が(1)国内において(2)事業として(3)対価を得て行われる(4)資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供が消費税の課税対象となります。消費税は課税事業者がその税金を国に納付しますが、実質的に消費税を負担しているのは、その消費税を事業者に支払った一般消費者です。
今般の改正目的は、消費者が支払った消費税が最終的に国庫に納付されない実情(いわゆる消費税の益税問題)への対処と、併せて消費税制度に対する信頼性・透明性を向上させることにあります。

主な改正点

改正点
コメント
(1)事業者免税点制度の適用上限の3000万円から1000万円への引下げ 平成16年4月1日以後に開始する課税期間から適用。個人事業者は平成17年分の、法人(事業年度が1年の場合)は平成17年3月決算期から適用
(2)簡易課税制度の適用上限の2億円から5000万円への引下げ 簡易課税制度は年間課税売上高に一定率を乗じ「納付すべき消費税額」を計算. 控除する税額が多く、結果として消費税が利益となるケースあり
(3)中間申告の申告・納付回数の見直し 消費税の預かりから納付までの期間が長い(預り金的性格).いわゆる運用益や運転資金への充当の解消を図ることを主眼として、申告納付回数を増やす
(4)消費税込みの総額表示の義務付け 「税込み」「税抜き」の価格表示が混在し、消費者にとってはわかりにくく、比較しづらい. 消費税額を含めた価格を表示することが義務付けられる

特に現在の価格の表示方法は「税込み価格」「税抜き価格」の両方があり、消費者にとってはわかりにくく、価格の比較がしづらく不便であるとの問題に対処するため、消費者が値札等を見れば「消費税相当額を含む支払総額」が一目で分かるようにするためのものです。しかしこの消費税込みの総額表示は消費税を支払うという意識が薄れ、将来の消費税率アップを睨んでの導入との意見もあります。

この総額表示方式導入に伴って印紙税の記載金額の取扱ですが、『105万円(本体100万円+消費税5万円)』の場合で100万円のみ課税対象となるのは、不動産の譲渡等や請負の契約書、金銭又は有価証券の受取書に限られ(第1号文書、第2号文書、第17号文書)、この他の文書では消費税額の記載方法に関係なく税込価格が課税対象となる予定ですので注意を要します。

ところで消費税になじみにくい性質の取引や社会政策的配慮から、一部非課税取引が定められています。不動産関係では前者の例として土地の譲渡・貸付けがあります(貸付期間が1か月未満や、駐車場等の施設の貸付などは課税対象)。後者としては住宅の貸付けがあります。事務所等の賃貸借契約締結の際収受される権利金等のうち、返還しないものは資産貸付けの対価(権利の設定対価)として消費税の課税対象となりますが、保証金等のうち返還するものについては、預り金であり消費税はかかりません。権利金、保証金等のうち返還しない部分であっても、住宅の貸付けに係るものは非課税となります〔消法2(2)、4(1)、消基通5-4-3〕。

固定資産税の未経過期間対応にする金額は不動産の譲渡対価の額に含まれ課税対象ですが、登記手続の後れから本来の納税義務者(譲受人)でなく名目上の納税義務者(譲渡人)に税が賦課される場合で、譲受人から収受する固定資産税相当額は譲受人に代わって譲渡人が納付した税金の弁済を受けるもので、消費税の課税対象にはなりません〔消法28(1)、消基通10-1-6〕。







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