日経ベンチャー「不動産を読み解く!」より (2008年5月号)
住宅地エリアの老朽工場、建て替えか移転か?

- 小関 彰三
- 不動産コンサルティング技能登録者、不動産証券化協会認定マスター
野村不動産グループ株式会社
アセット営業本部 企業不動産部
都内にも老朽化した工場がかなり残っています。移転先が見つからない、操業を中断できない、資金調達が困難などの理由から、行動に踏み切れない経営者が多いようです。
私どもにもそうしたご相談がよく寄せられます。工場移転を実現された中堅メーカーさんのケースをもとに、問題解決のポイントをご紹介しましょう。このメーカーさんは、戦前から保有していた23区内の工場が老朽化し、最新スペックの工場を必要とされていました。借入金を増やさず、工場の操業中断期間も最小限に抑え、従業員の通勤や工場移転による風評にも配慮しながら実現する方法をお探しでした。
そんなに都合よくいく方法がありますか。
すべての条件を叶える方法があったのです。私どもでは工場の時価査定や建物・土壌調査、市場調査と並行して移転先も探すなど、様々なシナリオを策定して有効性・実効性を検証したうえで「工場移転」をご提案しました。同一沿線の地価の安い工業団地に最新鋭工場を建設し、用地費と建設費は既存工場の売却代金でまかなう計画です。この背景には、工場周辺が住宅地化していることから、マンション用地として有利に売却でき、かつ、地域環境に合った跡地活用も期待できるという読みがありました。
図の後にも本文つづきます

売りと買いのタイミングが難しそうです。
その通りです。新工場の完成と旧工場の引き渡しの時期を合わせ、操業を継続できるように綿密なスケジュールを策定しました。旧工場の売却に際しても、引き渡し時期を入札条件に組み込み、支払いの確実性を期して資金力のある買い手に絞った指名競争入札にしています。また、簿価と時価の差(含み益)が大きく、そのままでは多額な税金がかかるため、事業用資産の買い替え特例を利用したり、先方の顧問税理士とご一緒に税制上もっとも有利な時期に引き渡す工夫もしました。
まるで複雑な連立方程式を解くようですね。
こうした不動産戦略が可能になったのは、私どもを信頼して経営戦略や経営数字まで開示してくださったからです。不動産仲介が目的であったり、実行支援を伴わないコンサルタントではこの連立方程式は解けなかったでしょう。この戦略が功を奏し、BS改善にもつながりました。
世界経済の不透明性が増しています。不動産戦略の実行には難しい時期ではないでしょうか。
工場移転などの不動産戦略の実行には時間がかかりますし、不動産市場は絶えず動いています。最適なタイミングで実行するには、まず、保有不動産の現状把握が不可欠。不動産データベースの作成や戦略の検討に「早すぎる」ことはありません。保有不動産の現状が一目でわかり、換金性・流動性を高めておけば、不動産は会社を救う救世主にも社業を飛躍させるきっかけにもなるのです。私どもではスペシャリストがチームを組んで、最初の一歩から実行までお手伝いします。
当事例シリーズは、日経BP社の許可により「日経ベンチャー」2008年5月号~10月号で掲載した広告記事の内容を転載したものです。



